OWNER’S VOICE VOL.5
GT HOUSE SETAGAYA-KU TOKYO
三角形の敷地に立つ三角形の家。1階には本でいっぱいの書斎を
住宅が密集する都市部では変形した敷地は珍しくありませんが、Tさま邸の敷地は三角形。
限られた空間を最大限に活用するため、建物も上から見ると三角形になっています。
けれども、ひとたび家の中に入れば三角の印象はなく、やさしい空間がひろがります。
変形敷地を活かしたプラン提案が決め手に
2年ほど前から漠然とマイホームを購入しようと考えていた、と語るTさまご夫妻。不動産会社が熱心に土地を紹介してくれたことが、家づくりに踏み切る直接の契機になったそうです。
―当初から一戸建ての建設を考えていらしたのですか?
Tさま(以下T):私たち夫婦だけならマンションでもよかったのですが、ゆくゆくは母を迎え入れようと思っているものですから。生活のリズムが違うので、ワンフロアだとお互い気兼ねでしょう。それで、一戸建てがいいと考えたんです。
T夫人:建て売り住宅もいくつか見学しましたが、なかなか気に入るものがなくて。たまたま連絡した不動産会社が毎週のように土地を紹介してくれたので、そろそろ決めようかという話になりました。
T:ここは5区画販売されていたうちの1区画です。通りに視線が抜けて見通しがよく、南向きで日当たりがいいのが気に入って選びました。
―三角形の敷地というのは、大胆な選択ですよね。
T:実は、そのときは、変形敷地に家を建てるのは大変だ、ということすら知らなくて(笑)。
T夫人:土地を紹介してくれた不動産会社も参考プランを用意していましたが、それでは建て売りを買うのと変わらないでしょう。せっかく自由に建てられるのだから、私たちの暮らしに合わせたプラン提案が欲しいと思い、スーモカウンターで3社ほど紹介してもらいました。
T:いろんな会社と打ち合わせして、初めて三角敷地の難しさがよく分かりました。敷地は三角なのに提案される間取りは四角くて、どうしてもムダが多くなる。そんな中で、フルキスペースデザインの提案は、敷地をすみずみまで活かし、私たちの要望をきちんと反映したうえで、なおかつ斬新でした。条件が厳しくても、こんなにいい空間ができるんだ、という夢を与えてくれました。
LDKは日当たりがよく、
高い天井がつくれる2階に。
南向きの好条件を活かし、LDKは日当たりのよい2階に配置。屋根の形をそのまま表した天井の高さもポイントです。完成した室内を見ると当たり前のように思えますが、ここに邪魔な柱が一本もないのは、設計者の工夫のたまものなのです。
—リビングダイニングは約12畳ですが、もっと広く感じます。
T:なにしろ天井が高いので。一番高いところは4m近くあります。トップライトがあって、空間全体に光が行き渡るのも、広がりを感じる理由かもしれません。
T夫人:建物が三角形なので、フルキスペースデザインは屋根のかけ方に苦労なさったとか。しかも、できるだけ天井を高くするために、複雑な屋根の形をそのまま天井に表したので、職人さんがクロスを貼るのも大変だったようです。
—お母様の部屋も2階ですね。
T夫人:階段を上らなくてすむ1階がいいのでは、という意見もありましたが、キッチンと同じ階なら日常生活がワンフロアで完結できます。お湯が使える手洗いが付いたトイレも用意しました。
私たち夫婦は共働きで、日中はあまり家にいません。そのぶん、母には日当たりのいい2階で過ごしてほしいという思いもありました。母の部屋とリビングダイニングの仕切りは背の高い引き戸2枚。ふだんは開け放しておけば、部屋とリビングダイニングが一体になって、2階全体をのびのびと使えます。
1階には通りに面した書斎を。
壁面の書架にこだわった
1階はご夫婦のプライベートゾーン。寝室のほか、ふたりで使える書斎が用意されているのが特徴です。明るく開放感のある2階とは対照的に、シックな内装で落ち着いた雰囲気になっています。
—ご主人は大学で教鞭を執っておられるとか。書斎の壁いっぱいに造り付けた本棚が圧巻ですね。
T:本棚はいくらあっても足りないくらいです。大小様々な本が入れられるように、棚の寸法はフルキスペースデザインと細かく相談して決めました。
—机も立派な無垢板で…。
T夫人:これは、林業を営む実家からの新築祝いです。6mもあるケヤキを切ってくれました。書斎のほか、寝室のデスクコーナーにも使っています。
T:いい木だ、と大工さんが興奮していました(笑)。
—内装もシックですね。
T:書斎の床と本棚はダークな色調にして、クロスは布風の質感のあるものを選びました。
T夫人:寝室の床はウォールナット、2階の床はナラで、部屋によって内装の色と素材を変えているんです。
—かなりこだわりが…
T:そういうわけではないのですが、せっかく家を建てるからには妥協はしたくなかった。どんな選択肢があるのかひととおり確かめたうえで、自分たちに合うものを選びたかったんです。
T夫人:たくさんの材料や部材をひとつひとつ決めていくのは大変な作業でしたけれど…。
T:おかげで心残りはひとつもありません。収納も場所と必要に応じていろいろつくっていただきましたし、自由設計にして本当によかったと実感しています。